「何事も経験ですよ」

「何事も経験ですよ」。
この言葉は、私が新卒でホテルに就職して、
当時、“厳しい職場”と噂されていた
フレンチレストランに配属になった時に、ある上司が言った一言です。

当時の私は、
知識や技術を修得する、最前線を理解する、
職場の人たちと信頼関係を構築するといった意味において、
経験することに価値はあるのだと解釈していました。

もちろん、それが間違っていたとは思わないのですが、
あれから18年を経た今の私は、この言葉を別の意味において解釈し始めています。
すなわち、その場所に居て、生身の自分の心と体で経験したという、
そのこと自体に価値があるのだと。

変化が激しい現代社会において、
「経験」というものが、相対的に低く扱われるようになった気がするのですが、
今一度、「経験」について考えてみるのも、きっと良い“経験”になるのだと思います。